2012年 06月 19日

本橋成一『屠場』

6月に見た写真展の中では、,銀座のニコンギャラリーの本橋成一さんの「屠場」が印象的だった。
これは大阪・松原の新旧屠場で働く人々を約30年にわたって記録したもの。

案内によると─

人が自らの手で牛を殺す。それは作者が初めて見る光景であった。
屠場で牛と向い合う彼ら作業員の姿には威厳があった。それは、いのちを奪うものとして長い差別の中で彼らを支えてきた職人としての誇りではないか。その誇りを保ち続けてきた源は、日々のいのちとの関わりではないだろうか。
いつから私たちはいのちが見えなくなったのだろうか。
本来いのちあるものは己のいのちを保つために、いのちがけで他のいのちを食(は)む。そうして生と死を日常的なこととして付き合ってきた。しかし、いま日本をはじめ、食にあふれた国々では、食する生きものたちを屠るために機械や電気を使い、自らの手で殺さなくなった。便利になり、合理化され、きれいになったことにより、その生と死がいつの間にかベールに包まれたように見えなくなってしまったようだ。

30年にわたって撮ったものとはいえ、中心をなすのは、1980年代半ばの古い時代の屠場の写真が多いという。現在はもう少しシステム化されているらしい。

鉄の心棒が飛び出すピストルを眉間当てて気絶されて牛を処理する。その迫力に興奮してピントがぼけたり、ブレたり、レンズに血痕が飛び散ったりしたようだ。
フィルムカメラで撮ったものだが、いまも本橋さんはデジタルよりフィルムを愛すると聞く。モノクロ約50点。
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by sustena | 2012-06-19 01:00 | Art/Museum | Comments(0)


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