2012年 02月 19日
土田ヒロミさんの写真集「BERLIN」(平凡社 2011年11月刊)を図書館で借りてきた。29×31cm 130ページで、(1)1983、(2)1999‐2009、(3)20093つのパートに分かれている。でも、それぞれの年だけで校正されているわけではなくて,1983のパートに2009年に撮った写真が入っているし、1999‐2009のパートには、1983・1999・2000・2009の各年のもの、2009にも、1983年と1999年に撮影された写真が入っている。 プロローグに、 そこに在るといえるものは 過去の現在 現前しているものの現在 未来の現在 というアウグスティヌスのエピグラフが掲げられていて、本書のねらいもまさにそこにあるのだろう。 土田さんが初めてベルリンの壁を撮ったのは1983年、2日間の滞在だったという。その後1999年から2000年に訪れたときは、すでに壁の多くは撤去されていて、さらにその10年後に訪れたときは、壁崩壊20周年の式典が行われていた。 私が初めてベルリンの壁を見たのは、たしか1978年のことで、おお、落書きがしてあるのかーとちょっと驚いて、東ベルリンのがらんとした感じに、緊張したものだった。 この写真集でも、1983年のものは人けがない。人が写っているのは壁の向こう側をみる見物台にのぼって、東側を眺める光景を撮ったものだけ。同じような見物台は2009年にもあるけれども、こちらはカラーで何やら祝祭気分に満ちている。 1983年のものはすべてモノクロ。なので、壁のない風景と対比したページはモノクロとカラーの対比が鮮やかで、一方、同じ場所の1999-2009年を並べたところは同じ10年でも地続きの感じ。それが、2009のパートであえてモノクロにした2009年の写真を眺めると、ああ、やはり1983年からも続いているのだなぁという感じがして、ちょっと不思議な間隔に襲われる。 群衆の写真はいつもながら土田センセイである。
by sustena
| 2012-02-19 16:15
| 読んだ本のこと
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Comments(6)
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ken_kisaragi at 2012-02-19 20:12
壁が無くなった今でも西東の乖離は強く感じるワー。
ちょっと前のイデオロギーや経済格差によるものだけではなく、 風水的な因果ではなかろうかと・・・ロマンチックな自分は、そう思いますねん。
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jmiin at 2012-02-19 22:33
似たような写真撮っちゃだめー ^^;
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sustena at 2012-02-21 23:36
kenさん、東はほとんど行ってないので、ちゃんと歩いてみたいです。
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sustena at 2012-02-21 23:40
東西冷戦のあと、EUが拡大して、でもやっぱりひとつの欧州にはかなり無理があって、一方でロシアとその衛星国、いやいやその前に、ロシア内部も一枚岩というわけにはいかず、国のありかたってなんなんだろーと思ってしまいます。
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sustena at 2012-02-21 23:41
え?似てる?? 潜在意識にあるんでしょーか。枝にさす光がすてきだったんですけど、シャキーンといかないのは、凡な腕。
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