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2011年 08月 21日

ジェフリー・ディーヴァー『ロードサイド・クロス』

c0155474_23384278.jpgジェフリー・ディーヴァーの『ロードサイド・クロス』(ROADSIDE CROSSES 池田真紀子・訳 文藝春秋 2010年10月刊)を読む。

リンカーン・ライムシリーズの第7作『ウォッチメイカー』で、ゲスト捜査官として登場した「人間嘘発見器」というか、キネシクス(=観察対象となる人物のボディランゲージや言葉の選択、声の抑揚などを分析する科学)の専門家、キャサリン・ダンスを主役にしたシリーズの第2作。

今回も『ウォッチメイカー』同様、情報化社会の闇を描く。

ハイウェイのガードレールのないカーブで高校生が自動車事故を起こし4人のうち2人が死亡する事件が起きた。しかし、運転手は逮捕されないし、州運輸局も道路管理責任を追及されないのはおかしい───ある有名ブログがそんな指摘をした。すると、たちまち運転した少年の個人情報があばかれ、ネットいじめがおき、ブログは炎上する。そんななか、死を予告する十字架が道路脇で発見され、ブログで少年を名指しで非難するコメントをした女子高生が命をねらわれ、ついに殺人事件まで起きる。しかも、ネットおたくでキモイと陰湿ないじめに遭ったその少年は逃亡してしまう。キャサリン・ダンスはコンピュータの専門家とともに少年の行方を追うが、その捜査のさなか、ダンスの母親が患者を安楽死をさせたとして逮捕されてしまう・・・・。

ブログにみんな個人情報をさらしすぎる。しかも、いったんネットの海に出ていった情報は、真偽はともかく消えることがない。ブログの嘘をみんなたやすく信じ込んでしまう。有名ブロガーの影響力や仮想世界の広がりときたら・・・。この書ではネット世界にさまざまな警告が発せられる。

この物語が示す暗澹たる事件はともかく、ネットいじめの話は日本でも見聞きし、そのたびにぞーっとするわけで、こういう旬な素材をテーマに2段組500ページの分厚い話をつるつる読ませるのはさすがであります。

『ウォッチメイカー』でのダンスは、あまりに天才すぎて面白みがなかったけれど、この『ロードサイド・クロス』では、二人の子どもを抱えてキャリアウーマンであることのしんどさや、好意を寄せる男性をめぐっての心の葛藤、無能な上司に対する憤懣etcが描かれていて、少しは人間味があって共感できる。でもやっぱり、とくに後半のどんでん返しに次ぐどんでん返しを読み解くところは都合よすぎるなー。

いちばん気に入ったところ。
母がひょっとして本当に安楽死にかかわったのではないかと疑ったダンスに、最後母がいう。傷ついたし、腹も立った。でも、自分の子育てが正しかったとわかったらふいに誇らしくなった、と。
「親はただ期待するしかない。祈るしかない。子供たちが必要としてる精神的な支えを与えてやれたと。価値観や勇気を教えられたと。子育てって、結局そういうことなのよ。子供に代わって闘うことじゃない。子供が自分で闘っていくための準備を教えてやることなの。自分で判断すること。自分の頭で考えることを教えることよ」と。
とはいえ、自分の子育てが正しかったかどうか、親には決してわからないものだと。親はそんな不安と闘っているんだと。

コンピューターの専門家のジョン・ボーリングがなかかいい男なんである。このあとのシリーズでも登場するかなぁ。
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by sustena | 2011-08-21 23:45 | 読んだ本のこと | Comments(0)


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