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2011年 06月 25日

新国立劇場『雨』

c0155474_22483787.jpg新国立劇場で、井上ひさし/作 栗山民也/演出の「雨」を見た。

この作品は1976年に渋谷の西武劇場で木村光一の演出で初演。たしか私は、1979年に紀伊国屋ホールで主人公の徳が 名古屋章、おたかが有馬稲子のコンビで見ている。
今回は徳に亀治郎、おたかに永作博美。そのほか、梅沢昌代・たかお鷹・花王おさむ・山本龍二・石田圭祐・武岡淳一・酒向 芳・山西 惇・植本 潤・金 成均etcという魅力的なキャストで、前々から楽しみにしていた舞台だ。

物語は───

諸国から食い詰め者が流れ込む江戸は両国橋の橋下で、雨宿りをしていた金物拾いの徳(亀治郎)は、羽前からやってきた新顔の人形遣いの乞食(たかお鷹)から「紅屋の旦那さまでは」と声をかけられる。最初のうちは、とんだ人違いだとあしらっていた徳だが、紅屋が平畠という紅花が特産の東北の小藩一の大店であり、そこの行方不明になっている主人の喜左衛門と自分が生き写し、しかも彼の帰りを待ち焦がれている女房のおたか(永作博美)が「後光のさすような美人」だと聞いて心が動く。
しかし東北弁はできないし、紅花栽培のイロハもわからない。女房とのSEXのやりかただって皆目検討がつかない。果たして紅屋の主人になりすますことができるのか・・・・?

最初はオドオドしていた徳が、次第に喜左衛門になりきっていく様子が、歌と踊りを交えながら、たのしく、サスペンスフルに描かれる。そして最後のどんでん返し!(同じ井上ひさしの「薮原検校」が検校の地位までのぼりつめながら、最後は国家のスケープゴートとなる舞台を思い出したよ)

なんといっても、松井るみの美術がよかった!

舞台に大きくつきささった釘のような楔のような柱は、まるで磔のようだった。紅屋の家の中、紅花を大胆にあしらった襖(屏風だっけ?)、江戸から東北にのぼる途中の桜や、最上川を見下ろす満開の桜。
そして雨。

それと、出演者が多いので、喜左衛門の半生を紹介する場面や、雨乞いのシーンの群舞、最後のシーンのシルエットが迫力だったのもマル。

むろん、亀治郎の徳もいい。江戸弁から東北弁をマスターしていくところ、自分からは喜左衛門とは名乗らないからと神仏に祈る徳。バレやしないかとドギマギしていたのが、次第に残忍な目の色になっていき・・・。(最前列だったので表情がクッキリハッキリ見えた♪)

永作博美は色気はないけど狂気をはらんだテンネンっぽさがこわーい妻である。本物の喜左衛門かどうか、だれがなんと疑おうと私は確信していると、亭主のイチモツの形状をみんなの前でにこやかーにのたまう。「アレはおーぎくて、あそごの鈴口のとこにはおっきなイボが2つ」。

大笑いして、喜左衛門の運命にドキドキしながら、言葉や権力や中央対地方のモンダイを考えさせる舞台。

中劇場のホワイエには約1000本の満開の紅花が飾られていて、記念撮影を楽しんでいるひとが大勢。紅花の種とソバの種をもらって、本日植えてみた。
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by sustena | 2011-06-25 21:32 | Theatre/Cinema | Comments(2)
Commented by Elizabeth at 2011-06-26 20:59 x
観たかったです。すごく、よかったみたいですね。また、ご一緒させてくださいませ。
Commented by sustena at 2011-06-26 21:19
Elizabethさま、いかがお過ごしですか。 「雨」は井上ひさしの中でも好きな作品です。晩年の戦争三部作とは別の、エネルギーに満ちた感じがする。亀治郎と永作博美を起用したことで、ずいぶんと現代的な味になったような気がします。


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