2011年 06月 16日

東京都写真美術館「プラハ1968」「世界報道写真展2011」

東京都写真美術館で開催中の2つの写真展を見てきた。

ひとつはジョセフ・クーデルカの「プラハ・1968」。これは1968年8月に起きたいわゆる「チェコ事件」、ソ連を中心としたワルシャワ条約機構軍がプラハ市内を占拠し、プラハの春に終止符が打たれたときの街の様子を記録したもの。目抜き通りを戦車が埋めつくし、悲嘆にくれる市民、兵士をにらみつける若者、占領軍を批判するビラを配り、旗を振る市民etcなど、弾圧に対峙する市民の姿を記録したものだ。

どの写真も40年以上経ったいまなお、臨場感にあふれ、生々しい。圧倒的な写真の力を感じさせるモノクロ写真約100点が並ぶ。

当時クーデルカは30歳。ロマの人びとを撮った写真てどで、ようやく写真家として認められはじめた時期だった。いったいどんな思いでシャッターを切ったのだろう。圧倒的な暴力の前に理不尽にも自由が奪われたなか、静かに決然と抵抗した市民たち、どんなシーンをも見逃すまい、目に焼き付けようとしたのだろうか。

やや低い位置からの視線、強いコントラスト、道路や戦車の砲身がまっすぐに伸びた引き締まった構図、(不謹慎ながら)美しさに感嘆。

当時私はまだガキんちょで、スボボダ大統領の名前も、「ストドラパンパ枚場の朝」の歌(チェコ民謡だよ)に似てるなー、なんて思っていたのだった。

もうひとつの写真展は「世界報道写真展2011」。前年に世界中で撮影された報道写真を対象にしたコンテストで、今回は125の国と地域、5691人の写真家が応募した10万8059点のなかから優秀作品が選ばれた。

大賞となったのは、アフガニスタン人の女性のポートレート。彼女は、夫による暴力から逃れて実家に戻っていたが、タリバーンから逃亡の罪による刑を宣告され、夫に鼻と耳を切り落とされてしまう。この悲劇を伝えるため、カメラに向かったのだ。削ぎ落とされた鼻と強い決意と悲しみを秘めた目が忘れられない。

ハイチの震災、パキスタンの洪水など、例年以上にめをそむけたくなるような写真が多く、自然の部の白鳥の写真にホッとしてしまう。ボリビアの女性レスラーの写真とチェロの練習をするアフリカの女性の写真もよかったな。

同時に東日本大震災の写真がスライドショーで紹介されていた。日本のカメラマンと外国のカメラマンとで、撮影する視点がかなり違うのが興味深い。
c0155474_22134667.jpg


by sustena | 2011-06-16 00:02 | Art/Museum | Comments(2)
Commented by jmiin at 2011-06-16 05:30
こう言うのって関西では殆どやってないんですよね。
見に行きたいなぁ。
Commented by sustena at 2011-06-17 00:31
jmiinさん、クーデルカは本当にオススメです。7月18日までなんですけど、仕事のついででもないと、遠征はむずかしいですよね。弾丸ツアーってわけにもいかないかなぁ。弾丸ツアーなら、もっと絶景がいいですよねぇ。


<< コクーン歌舞伎『盟三五大切』      橋元良明『メディアと日本人』 >>