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2011年 05月 31日

宮部みゆき『小暮写眞館』

宮部みゆき『小暮写眞館』_c0155474_21315246.jpg図書館で予約していた宮部みゆきの『小暮写眞館』(2010年5月刊 講談社)の順番がやっとまわってきて、716ページものボリュームがあったんだけど、つるつると読んでしまった。

4話からなる連作である。
主人公の高校生・花菱英一(花ちゃん)と8歳下の小学生の弟の光(ピカ)、父・秀夫、母・京子の一家が購入したマイホームが舞台である。本来なら「古家あり」として、撤去費用がかかるボロ家は、もと写真館だった。第一話は、この写真館で現像した写真が心霊写真だったと1枚の写真が持ち込まれ、英一がその写真の由来を突き止める話から始まる。しかもこの家には、小暮泰治郎の幽霊も出るというウワサが・・・。

登場人物が揃って味がある。
英一の親友で、めちゃ頭がいいテンコ(店子力/たなこ・つとむ)、英一と同じジョギング部の物干しみたいに長身の橋口保、色黒丸顔ゆえにコゲパンというあだ名の寺内千春、バレー部なのにチビばっかりの豆バレー部の田部女史、鉄道愛好会に所属する田中博史クン。そして、この家を仲介したST不動産屋の社長の須藤さん、ワケありの女性事務員・垣本順子など、宮部みゆきがいつものようにじっくりと書き込んでいくので、それぞれがイキイキしたキャラで動き出す。

心霊写真の話から始まるため、最初は、宮部お得意のちょっとオカルトがかった話かなーと思うとさにあらず。最初はただの感じ悪い事務員かと思っていた垣本順子の存在が大きくなっていく。そして、インフルエンザ脳症で4歳のときになくなった風子(ふうこ)の存在を、それぞれが痛みとともに抱えていて、第3話、第4話と進むにつれて、じわーんとしちゃう。

この本の表紙は小湊鉄道飯給駅。線路脇をサクラ並木が彩り、菜の花の絨毯が広がっている。そこに上半分がクリーム色で、下半分が紅色の二両編成の電車が停まっている写真で、最終章で初めてその写真の意味がわかる。心霊写真とか念写の話が出てきても気にせずに読み進めるべし。

第一話 小暮写眞館
第二話 世界の縁側
第三話 カモメの名前
第四話 鉄路の春

宮部みゆき『小暮写眞館』_c0155474_1241822.jpg
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by sustena | 2011-05-31 21:56 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by iwamoto at 2011-06-01 20:34 x
めちゃ頭がいいサステナさんでも、そんなに沢山読んで大丈夫なのかしら、と心配になります。
熟読玩味、ヨロシクお願いします。 めちゃ頭いいから、大丈夫か〜?

本日、取材旅行に行ってきましたぜぃ。 白洲邸と王禅寺。
Commented by esiko1837 at 2011-06-02 21:07
宮部みゆきさんは、私はちょっと苦手というイメージがあって、
一冊も最後まで読んだことがありません。
全部分厚くて最初から敬遠してしまうのかもしれませんが。
でも4話からの連作って聞くと、読みたくなってきました。
今日借りてきたのを読み終えたら、私も図書館で探してみます。
写真は、どこかの写真館ですか?
Commented by sustena at 2011-06-03 01:00
iwamotoさってば、ほんとにいぢわる~。私は熟読玩味とは縁がないひとです。さーっと読んで、片っ端から忘れてしまいます。
白洲邸と王禅寺・・・。これも縁のない世界かも・・・。
Commented by sustena at 2011-06-03 01:01
esikoさん、たしかにじとーっと長いので、ワタシも何度か投げたことがあります。今回は比較的波長が合いました。第4章がよかったな。写真は軽井沢で見かけたアンティーク屋さんです。
Commented by Cakeater at 2011-06-04 05:40 x
カラーに見えるのは、ひょっとしてモノクロに着彩したものかな。むかしは、(もう四十年以上前)写真着彩用色鉛筆が売られていて、12色一セットぼくも全く使わないのに小遣いで買ってました。なんかせっかくの写真駄目にしそうでlol. 昔(三十年くらい前)神田の古本屋でも絵葉書と一緒に、こういう古写真が売られてましたねえ。懐かしいなあ。
(もっとも、最近じゃ、ネットからダウンロードして、プリントアウト、色を塗ってのフェイクもある可能性もありますね。でもせいぜい200円から500円くらいだろうから軽犯罪以下の微小犯罪かな)
Commented by sustena at 2011-06-05 22:12
Cakeaterさん、昔の観光ハガキに美人が入っているようなのに、着彩のものがよくありましたよね! カラーにしては妙な感じもしましたが、色あせたのかもしれず・・・。
ワタシには区別がちっともつきませんですm(_ _)m



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