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2011年 02月 20日

二月花形歌舞伎「女殺油地獄」

c0155474_2212213.jpg仁左衛門の河内屋与兵衛が、虚無を抱え、自らの心のうちの深淵を覗き込むようにして、お吉を手にかけた男だったとすれば、染五郎の与兵衛は、いかにも今風の、瞬間的にキレてしまうアンチャンなのだった。(基本的に陰な気分ただようこの人には、とっても似合っていた)

近松門左衛門の「女殺油地獄」 は、たたみかけるように突き進むテンポといい、放蕩息子が借金の返済期限を前に、衝動的に凄惨な殺しに手を染めてしまうテーマの普遍性といい、実に現代の私たちにもぐぐっと迫ってくる歌舞伎であります。

油屋での殺しの場面、染五郎の与兵衛が亀治郎のお吉をが、油にすべりながら殺す場面、息はホントにピッタリで、亀治郎ののけぞったラインの美しさ、目を見張ってしまう。

出色だったのは、片岡 秀太郎のおさわである。義理の息子である与兵衛を強く諫めることができない番頭あがりの徳兵衛にかわって、放蕩三昧の息子を追い出したものの息子のことが心配で、豊嶋屋のところにに寄ったら渡してくれと、家の金を持ち出してしまう。そこで同じことを考えて先にやってきていた夫の徳兵衛と鉢合わせして、懐にしまっておいたお金をぽろりと取り落としたときの慌てよう、その嘆きよう。愚かな息子を持つ母の嘆きが胸に迫ってきたよ。

今回は、最後、「豊嶋屋逮夜の場」も付いていた。犯行後、結局つかまってしまった与兵衛の、轟然とした表情も印象的。 

ところで二月花形歌舞伎のポスターの撮影は蜷川実花で、一部と二部のポスターが連張りとなっていると、実に目を引くのであった。
 
                   河内屋与兵衛  市川 染五郎
                       お吉  市川 亀治郎
                     芸者小菊  市川 高麗蔵
                     小栗八弥  坂東 亀三郎
                    兄 太兵衛  中村 亀 鶴
                    妹 おかち  澤村 宗之助
                  叔父 森右衛門  松本 錦 吾
                  豊嶋屋七左衛門  市川 門之助
                    父 徳兵衛  坂東 彦三郎
                    母 おさわ  片岡 秀太郎
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D40+18-135mm

by sustena | 2011-02-20 22:02 | Theatre/Cinema | Comments(0)


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