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2010年 08月 25日

中島京子『女中譚』

c0155474_22451151.jpg中島京子の『女中譚』(2009年8月 朝日新聞出版刊)は、ぞわぞわしちゃう本である。

作者の中島京子さんは、デビュー作の『FUTON』といい(なんたって、田山花袋の蒲団をローマ字にするんだよ)、『日本奥地紀行』のイザベラ・バードが東北と北海道を旅したときに従った青年・イトウとバードを主人公にした『イトウの恋』にしろ,題材の選びかた、描きかたが、もう独特なんであーる。

タイトルからして、お手伝いさんじゃなくて「女中」に、奇譚なんかの「譚」という字がくっついてる。単に、昔のお手伝いさんのお話じゃあないな、どことなくまがまがしい感じがするでしょう? ピンポンなんですよー。

連作短編で、主人公はアキハバラのメイド喫茶の常連で、だれかれとなくつかまえては、昔の女中時代のことを語って聞かせる老婆・澄。

第一話は、大連から女をたぶらかして駆け落ちして東京にやってきた信作が、お金を使い果たして女を下宿屋の女中にたたき売って、ひょんなことから澄のところに転がり込んでくる。信作は毎日だらだらしてるばかりで働こうとしない。女に貢がせて世を渡ってきたような奴で、実にうさんくさく、嫌~な奴だが、妙に色気がある。金ぐらい自分で稼げというと、駆け落ちしてきた女からふんだくればいいという。こうして澄は、男に代わって、その女にあてて、金を送れという手紙も何度となく書くことになる。やがて・・・。

第2話では、澄は麹町の洋館で、ドイツから来たちょっとSの気のあるハーフのお嬢様に仕える。お嬢様は、ナチに心惹かれているという設定だ。

そして第3話では麻布の変人の文士先生の世話をすることになる。先生はちょっとは澄に気があるらしいのだが、澄をくどくでもなく、夜になると出かけるので澄はひまでたまらない。そこで、舞踏練習所に通い踊り子となるが、ある日、その文士先生の書く小説に、自分のことが載っていることに気づく・・・

単なるレトロな女中奉公話ではなく、どろりとした性の深みが透けて見えるんである。
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by sustena | 2010-08-25 22:44 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by esiko at 2010-08-26 11:01 x
中島京子さんの名前は、私は初めて聞きました。
レトロな雰囲気でおもしろそうですね。
読みたくなる本ばかりで、困ってしまいます。
サステナさんが一体どうやって読書の時間を捻出するのか、不思議でなりません。

写真も色気タップリで妖艶で・・なのに透明感があってトレビアンです。
素晴らしい!!!
Commented by sustena at 2010-08-26 22:11
中島さんは、先だって「ちいさなおうち」で直木賞を受賞して、これもおもしろそうです。いま図書館に予約していて、まだまだ番が回ってこないの。
私は読書量はうんと落ちて(なんたって、なかなかうまくならない写真に淫してるから)、読むのはもっぱら通勤の帰り道です。
Commented by iwamoto at 2010-08-27 09:55 x
あなたほど頭が良くて、なんでも感じ取ってしまう人でも、やはり、自分のことは見えにくいのですね。 そこが面白いとも言えるのですが。
あなた、写真お上手ですよ。 
思うに、「突き抜けたもの」に至らないことが、もどかしく悔しいのかしら。 そこは誰しもですけどね〜。 
Commented by sustena at 2010-08-29 10:09
iwamotoさん・・・・(絶句) ただやみくもにシャッターを押してるだけなんでろよー (;o;)
Commented by 藍色 at 2011-04-30 03:17 x
先日は、ありがとうございました。
こちらにもトラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Commented by sustena at 2011-05-01 00:19
藍色さん、こんにちは。藍色さんは本当にいっぱい本を読んでいらっしゃいますね。私は読書量は10分の1に落ちました。最近新しい作家の本をほとんど読んでいないので、藍色さんのカテゴリーリストにはくらくらしました。オモシロイ本をいろいろ教えてくださいませ。


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