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2009年 11月 14日

桐野夏生『IN』

c0155474_1463163.jpg桐野夏生の『IN』(集英社 2009年5月)は、この作家のエネルギーがじわじわ~ひたひた~っと押し寄せてくるような本だった。

主人公は小説家の鈴木タマキ。現在、緑川未来男という作家が書いた『無垢人』という小説をもとに、恋愛の抹殺をテーマに『淫』という連載を手がけている。緑川には○子という愛人がいて、その存在を知った妻が激しく嫉妬する。『無垢人』は、その修羅の日々を書いた小説であり、タマキは、○子が誰なのか、探しているのだ。

タマキ自身も、かつての担当編集者の阿部青司と、破滅とわかっても突き進まずにはいられない恋をしていた。お互いが家庭があるにもかかわらず、「涯てまで行き着きたい」と、ドロドロの関係を続け、そして激越な破局を迎えたのだった。

この『IN』は、そんな青司との日々を思い起こしつつ、一方で、緑川の周辺への取材、また、タマキが分析を進める『無垢人』の文章とが入れ子になって登場する。タマキと青司のみならず、緑川とその妻も、実にすさまじいエネルギーの持ち主であり、書くこと、創作者の業というものや、恋愛の激しさや身勝手さが、ぐちぐちゃの内臓を引きずり出すような感じで描き出される。

緑川の妻千代子の描写が、実に迫力である。

桐野夏生は、ひとの隠しておきたい部分をこじあけてみせるのがホントにうまい。私にもこんな感情がひょっとしてあるだろうかと、自らの心の奥底の戸の隙間からこわごわ覗いてるような、そんなドキドキする感覚があった。
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これはユリなんだそうです。球根で増えそうなイメージがあるけど、タネがちゃんとあるんだって。ペラペラの分子みたいな円盤みたいなタネだったよ。Nuts-coさんに教えてもらった。

by sustena | 2009-11-14 09:56 | 読んだ本のこと | Comments(2)
Commented by jmiin at 2009-11-15 22:22
割れた部分だけを拡大すると、エイリアンですね! こりゃ。
Commented by sustena at 2009-11-16 21:36
エイリアン・・・。そういえば、食虫植物に(たとえばハエトリ草とか)こんなアヤシイ歯を持つのがいたような気が・・・。


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