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2009年 07月 21日

中村好文『意中の建築(上)(下)』

中村好文『意中の建築(上)(下)』_c0155474_9461685.jpg建築家の中村好文んの『意中の建築(上)(下)』(新潮社 2005年9月刊)を読む。
これは目ざとくて、観察するのがだーい好きで、なんにでも「じっと見」の眼差しを注いでしまう中村さんが、心惹かれて見入った建築 や、一目見ただけで忘れられなくなって、中村さんの胸の裡に住み着くようになってしまった、そんな「意中の建築」を訪ね歩き、写真とスケッチ、達意の文章で紹介したもの。上巻12、下巻13、計25の建築が載っている。

これがその建築。

名作の足元を見る―旧千代田生命本社ビル(村野藤吾)
「星の王様」が造った天文遊園地―ジャンタル・マンタル
本の精霊に捧げられた神殿―ストックホルム市立図書館(エリック・グンナール・アスプルンド)
石塀に会いにゆく―閑谷学校
ひとひねりした住宅―母の家(ロバート・ヴェンチューリ)
村の住み心地―河回村
タルコフスキー好みの廃墟―サン・ガルガーノ聖堂
名旅館名室の条件―俵屋旅館
コレクターの館―サー・ジョン・ソーン美術館(サー・ジョン・ソーン)
五十年後の建築家冥利―ケース・スタディ・ハウス#1(ジュリアス・ラルフ・デイビッドソン)
住まいの変奏曲―マーヴィスタ・ハウジング(グレゴリ・エイン)
マティスの遺した光の宝石箱―ロザリオ礼拝堂

巨匠の図面を覗き込む―サヴォア邸(ル・コルビュジエ)
戸袋に消える128枚の雨戸―掬月亭
修復という名の錬金術―カステルヴェッキオ美術館(カルロ・スカルパ)
旅路の果てに辿り着いた島―檀一雄の能古島の家
「第三の男」が逃げ込んだ地下水道―ウィーンの地下水道
肩肘張らず自然体で普請するは大吉―続・私の家(清家清)
風景の中の葬礼―森の火葬場(エリック・グンナール・アルプルンド)
思想家たちを幽閉した瀟洒な獄舎―豊多摩監獄(後藤慶二)
森に立てられた十字架―オタニエミ・チャペル(ヘイッキ&カイヤ・シレン)
我が心の階段室―旗の台駅
ワトソン君、住まい方は生き方そのものだよ―シャーロック・ホームズ・ミュージアム
沖縄の家は昼寝も気持ちいいさ!―中村家住宅/銘苅家住宅
生物学者との二人三脚―ソーク生物学研究所(ルイス・カーン)

どの建築も、中村さんがほれているだけに、そして写真もまた実にすばらしく、すぐにでも現地に飛んで行って自分の目で見たいという気持ちに駆り立てられるものばかりなのであった。

息子に読ませようと思って借りてきた本だけど、私のほうが、ダンゼンこんな本を読むのは好きで、あっ、ここは行ったことがあるぞ、定年になったらここに行こう♪と一人であれこれ思い描いては夢中になっていたのだった。

写真は3年前、長野県松代の松代藩文武学校の剣道場だったかでボケッとしている私。知人が撮ってくれたもの。すてきな建築空間の中で、ゆったりしているのは最高であります。
中村好文『意中の建築(上)(下)』_c0155474_12453666.jpg


by sustena | 2009-07-21 12:46 | 読んだ本のこと | Comments(6)
Commented by higphotos at 2009-07-21 17:08
いやぁ、カッチョイイですねぇ。
こういう空気が映った写真って大好きです。
Commented by nuts-co at 2009-07-21 18:31 x
この本も読んでみたい。いい図書館が近くにあっていいですねえ。
この道場の床板の存在感が、すごいですね。大きなかけ声が聞こえてくるような。この景色にsustenaさんがちっとも負けずに堂々と存在している。
Commented by sustena at 2009-07-22 00:10
このカメラはEOS kissの初代?だったと思います。当時うらやましくて仕方がなかった。
Commented by sustena at 2009-07-22 00:11
よく見たら行儀があまりよくないんだなぁ・・・。ときどき、図書館のためだけに税金を払っているのでは、と思ったりします。
Commented by Lucian at 2009-07-22 20:08 x
sustenaさん、カッコよく写っていますね。
読んでみたい本ですが、上下セットで買うのはちょっと高いですね。
日本には2695万人のブロガーがいるので、その内の読者の中には必ず訪ねてみる人がいます。
というわけでオタニエミ・チャペルと掬月亭の写真を拝見しました。創造意欲を刺激される作品でした。
Commented by sustena at 2009-07-22 22:04
なんたって、遠方・シルエットですからー。掬月亭の128枚の雨戸が、くるくると戸袋に吸い込まれる様子、ぜひ見てみたいです。


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