2009年 04月 09日
彩の国さいたま芸術劇場で、蜷川幸雄演出「ムサシ」を観た。井上ひさしの新作である。 宮本武蔵(藤原竜也)と佐々木小次郎(小栗旬)の巌流島の決闘でもし佐々木小次郎が生きていたら・・・・?という奇想天外の設定だ。決闘の6年後、鎌倉の禅寺、源氏山宝連寺で、二人が再び相まみえる。3日間の勤行のあと、もう一度決闘しようと誓う二人。ここに一癖も二癖もある登場人物が加わって、いろんな珍事・事件が巻き起こる。 二人を一緒にしても、戦うことができないように5人6脚をするシーン。お互いに足を縛りあって、くんずほぐれつする場面はノリノリ。父の仇討ちのために、剣術を即席で教えてほしいと懇願する筆屋乙女(鈴木杏)らに、小次郎が稽古をつける場面では、みんなの剣術の稽古がそのままタンゴのダンスになる。ああ、なんていいテンポ! かちかち山の新作能づくりに励む、能・狂言おたくの柳生宗矩(吉田鋼太郎)の、セリフのそばから舞いだしちゃうところも楽しい。このひとは、オセローとかタイタスアンドロニカスのような悲劇の主人公よりもこんなちょっとひょうきんキャラがいいなぁ。 木屋まいをやった白石加代子は、本当にうまくて、どのセリフも耳の奥にじーんと届く感じなのだけれど、特に「蛸」の狂言が最高! ストーリーはこうだ。旅の僧がとある漁村を通りかかり、大きな蛸が捕まって食べられてしまった話を聞く。そこで僧が「ああなんまいだーなんまいだー、生だこ生だこ」と弔うと、蛸が現れ、塩もみされて茹でられて食べられてしまった様をくねくねと演じ、今は成仏できたと感謝する。この蛸を演じるのが白石加代子で、早稲小のころを彷彿とさせます。沢庵宗彭(辻萬長)の存在感もいいな。 後半は、井上ひさしらしく、教訓くさいところがちょっと鼻につくけれどけれど、メッセージは明快。殺すな、生きよ。憎しみの連鎖をどう止めるか。 勝柴次朗の照明がいい。冒頭の竹林が動いていく美しさ! 美術は中越司。 〇脚本/井上ひさし 〇演出/蜷川幸雄 〇音楽:宮川彬良 〇配役 他に 平心 大石継太 浅川甚兵衛 塚本幸男 浅川官兵衛 高橋 努 忠助 堀文明 只野有膳 井面猛志
by sustena
| 2009-04-09 23:54
| Theatre/Cinema
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Comments(5)
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Lucian
at 2009-04-10 12:00
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カラーとモノクロの切替えが巧みになってきましたね。
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esiko1837 at 2009-04-10 17:46
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nuts-co
at 2009-04-10 22:07
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白石加代子のくねくねした蛸、なんだか目に浮かぶようです。いつもお芝居の雰囲気を味わわせてもらって、ありがとう!私はこの前みた「咲華」が面白く、また狂言を見にいきたいなあと思っています。
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higphotos at 2009-04-10 22:41
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sustena at 2009-04-11 14:28
Lucianさんesikoさん、おほめいただきありがとうございます!!藤原竜也と小栗旬なので、若いコがいっぱいでした。
nuts-coさん、私は能はまるでダメなんですが(α派全開?になり、すぐ寝ちゃう)、狂言は好きです。 higphotosさん、下の写真は、芸術劇場の高い塔をちょっとぶらして撮ってみようと思ったら、やりすぎてしまったの。でも、鳥が飛んでいるようで捨てがたかったのでアップしたもの。技というわけでは・・・。 |
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